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最高裁判所第一小法廷 昭和27年(オ)291号 判決 1955年3月17日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

所論の昭和二〇年勅令六三六号土地工作物使用令一一条により進駐軍が土地(地上建物は取り除かれた)を接収使用中なると接収が解除せられ当事者に返還された場合とを問わず、賃貸人である土地の所有者から新に所有権を譲受けた第三者と右土地の賃借人の関係において、後者は土地賃貸借の登記があるとき(民六〇五条)またはその土地の上に登記した建物を有するとき(建物保護法一条)に限り、前者に対し土地賃借権を対抗し得るに過ぎない。それ故、賃借人たる上告人は所有権の新取得者たる被上告人に対して土地賃借権を対抗することを得ないとした原判決は正当である。所論は独自の見解を述べているものであつて、すべて採ることを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 真野毅 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 岩松三郎 裁判官 入江俊郎)

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